ワナビの書き起こし

ワナビが暇なときに書く日記です

中世ヨーロッパとかいう変な時代について脳に流し込む。


 皆さまこんにちは。ディレク・ジーターです。野球が上手くなるには練習内容が大切です。今日は僕のお勧めするレインボーアートデラックスを紹介したいと思います(手につかなーい!) 

 はい。というわけで従兄弟の顔よりは見たCMと共にこんにちは。藤野すそのです。ジップヒットもレインボーアートデラックスも買った人見たことないんですが、お持ちの方はご連絡ください。馬鹿にするので。


 さて皆さま、小説は書いていらっしゃいますか?書いてないという方は今すぐ書くとして、やはりファンタジーを書いている方が多いのでしょうか。なんやかんや言って小説と言えば小説家になろう小説家になろうと言えばファンタジーです。
 しかし本格的なファンタジーは難しく、多くの方は中世ヨーロッパ風ファンタジーに手を出しているのではないでしょうか。
 なろうのファンタジーと言えば包囲殲滅陣、肉の両面焼き、畑への食虫植物などが有名な魔境。なんJでスレが立てられるのもやむなし感があります。

 
 かと言って真面目に中世ヨーロッパを書こうとすると死にます。なんと言っても欧州事情は複雑すぎます。wikiを適当に見るだけで死にそうになる情報量。現在の世界地図とは違い過ぎる国境線に頭がくらくらしてきます。
 広すぎる時代(西ローマ滅亡の五世紀から東ローマ滅亡の十五世紀)。ほとんど残っていない資料(識字率が高いうえ紙が安価で筆まめな人間が多い日本がおかしいだけ)。違い過ぎる言語(ラテン語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語。おかげで人名がコロコロ変わる)などに苦しめられると思います。

 中世って具体的にいつだよ! とか。
 どこを基準にするんだよ! とか。
 神聖ローマ帝国ってなんだよ! とか。
 古代ローマが偉大すぎるだろ! とか。
 物語の絶対王政ってどうやって成り立ってんだよ! とか思うことでしょう。その面倒くささに挫折した方も多いはず。僕は挫折しました。

 ここでヨーロッパの地図を思い浮かべてみましょう。なんとなく思い浮かびましたか。では下の地図を見てみてください。15世紀(中世最後)の地図です。ヴォエ!

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分かりやすくEU4というゲームから持ってきました

 ドイツが滅茶苦茶……滅茶苦茶じゃない? それとリトアニアでけえなオイ。

 しかも更にここから領主の区分けがあるわけで。こんなん調べてたら年が明けるわ。

 ですが、色々と面白い……面白い?時代でもあります。しかし紐解くのが面倒すぎると言うのも事実。

 そこで欧州の複雑怪奇さを私の手によって皆様の脳髄に捻じ込みたい、もとい分かち合いたいと思い色々と書かせていただきます。ですが、一口に中世ヨーロッパと言っても時代も場所も千差万別。ここから下に書いている説明は、全て脚注で「諸説ある」とか「時代と国による」と付いていると思ってください。間違いがあったら心の中で修正して、どうぞ。僕も自信がないです。

 

 

爵位について
 
 さて、最初に爵位についてですが問題です。ヨーロッパでは爵位はどう分かれているでしょう? ファンタジー作品を多く読んでいる人にとっては余裕ですかね?

 そう!公、侯、伯、子、男です! これは基礎知識なので覚えて--と言うとでも思ったかマヌケが!

 この考えはクソ甘いですね。コメダシロノワールよりも甘いです。遊戯王で言うと相手のライフポイントを100にして勝ち誇っている敵ぐらいの甘さです。


 答えは「国によって違う」です。はい残念でしたww。

 そりゃそうだろ、って思って画面にパンチをかました人! その通りですよ。ええ、クソ問題です。


 確かに爵位は主に公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵とあるわけですが、国によっては辺境伯や方伯、城伯とかがあったり、男爵の下に準男爵とかがあったりしますね。この準男爵というのもまた面倒で、国によって貴族だったり平民だったりします。中世からある国もあれば近代から導入した国もあります。あーめんどくせマジで。
 イギリスだと爵位だけど平民扱いの勲爵士とか、スペインとかだと王位継承権の有無で公爵を更に分けたりとか。マジで国によってまったく違います。選帝侯だと帝国官位として大膳職長とか侍従武官長といった爵位以外の何かを貰ってたりしますしね。

 面倒だと思うあなたにオススメなのがナポリ王国です。貴族階級はたったの二つ! 公爵、男爵! 終わり! シンプル過ぎて逆に意味が分からん。なんで爵位が二つで政治が成り立つんだ。ちなみにロシアでも公爵と伯爵しかないらしいっすよ。

 そもそも欧州と言ってもアラゴンカスティーリャからモスクワ公国まであるわけでして、そりゃ各地の王が好き勝手に作るわけですね。国を治めてるのだって、王、大王、大公、選帝侯と様々あるわけで。誰がどれぐらい偉いのかとか勘弁してほしいです。

 ついでに言うと神聖ローマ帝国的には王という称号はボヘミア王ベーメン王)とローマ人における王(ドイツ王)の二つだけだったりします。後は全部公とか伯とかです。ま、なぜかベーメン王よりもトリーア大司教の方が帝国議会での序列的には上だったりするんですけどね、初見さん。


 騎士一つとっても貴族と取るかどうかの違いがありまして、例えばフランスでは騎士は貴族ですが、イギリスでは騎士は貴族階級じゃないです。馬も乗らせてもらえないです(というか馬の管理費を賄えるほど金がない)。
 それならじゃあドイツ騎士団国はどうなんだよとか考え始めたら頭がおかしくなりそう。まあ日本でもどこまでを武士として捉えるかは藩によって違ったらしいですけど。

 話を戻して爵位の話をします。

 よく勘違いされることですが、欧州において爵位とは家ではなく土地に与えられるものです。つまり公爵だから公爵領を治めているのではなく、公爵領を治めているので公爵なんです。日本だと土地と爵位が別なので勘違いしちゃうんですよね。つまり爵位は土地、領主権に付随するので複数持つこともあり得るわけです。これは王権であっても同じです。

 神聖ローマ皇帝ドイツ王ベーメン王にしてモラヴィア辺境伯でありルクセンブルク伯でもあるカール四世に任命された、ポーランド王兼ザクセン選帝侯にしてローマ帝国侍従武官長であるザクセン=ヴィッテンベルグ公爵とか意味不明ですよね。お前らは一体どこの人間なんだよって思います。自由都市とか見てたら気が狂いそう。ビスマルク君早く統一してくれよなー。町内会の集まりみたいな帝国ほんとひどい。

 スペイン王イングランド王兼ポルトガル王のフェリペ二世とかよぉ……イングランドスコットランド、フランス、アイルランドの王なのにフランスを攻撃させたウィリアム三世とかよぉ……どうなってんだよマジで(こいつらは近代だけど)。そういうことするから英語も喋れねえイギリス王妃とか出るんだよ。

 あ、それと爵位は領地に与えられると言いましたが、逆に言えば領地を持っていない貴族は爵位を持っていません。それは木っ端貴族というわけではなく、大臣などのように持つ必要がない貴族も持っていません。だから爵位を持っていないから偉くないわけではないです。

 更に言うと土地を持ってるけど爵位を持ってない人とかも普通にいます。じゃあ今までの話なんだったんだよ。

 

 

・国について
 中世ヨーロッパですが、国とかないです。
 ごめんなさい訂正します。有り過ぎてわけわからないだけです。というか封建制の時代なので、各領主貴族の集合体が国と呼ばれるだけで、厳密な国とかないんですよね。日本だって幕府という旗印こそありましたが、尾張国駿河国は別だったわけで。日本国なんていう概念はありませんでしたよね。織田と徳川と今川は別の国です。一つの意志に統一されたのはずっと後です。それまでは武士が公家から官位と土地貰って御恩と奉公で繋がってただけです。いわゆる封建制です。沼地に住む変な奴から剣を渡されただけの王が全て決めるわけではありません。ローマ皇帝だって投票で決まってましたし。

 1648年のウェストファリア条約ヴェストファーレン)によって主権国家という概念がようやく生まれるわけで、それまではドイツ等の多くの国が(実態はともかく一応)神聖ローマ帝国の一部であり、主権は持ってなかったわけです。まあ西側のフランスやイギリスは好き勝手やってましたけど。

 つまり国とは貴族、領主の寄合であり、集団に属しておいた方が楽だから集まってるだけなんですね。連合王国みたいなもんです。だから裏切ろうが独立しようが亡命しようが、領主の勝手なわけです。やったら最後、周辺が殺しに来るからやらないだけです。中世とは常に小早川が裏切った関ケ原状態なわけです。


 ごたごたで二つの国に跨ったりすると、戦争の時にどっちに付くかで死にます。フランス領なのに百年戦争イングランドに味方したフランドル伯とか。これにはジャンヌ・ダルク姉貴もブチギレ。ま、精神病だったとか言われるし多少はね?(まったく関係ないんですけど、ジャンヌ姉貴はオルレアンに生まれたからオルレアンの乙女だったけど、青森に生まれてたら青森の乙女とかだったと思うとちょっと面白い)

 

 ちなみに領主、って言うと物凄い強そうに聞こえますが、やってることはただの村長もしくは役所です。無茶したら即座に反乱されますし。普通の貴族は領民人口も数百人とかそういう時代ですし。三十年戦争とかで色々欧州の人口とかがバグりますが、あれは同盟国巻き込んでの総力戦ですから。よほどの大貴族とかでない限り、中世貴族の戦争は大体小競り合いです。男手=生産力の時代に消耗してられっか!

 つーかたかが一領主のくせに万単位の兵士で領土争いする日本がおかしいんですよ……米とかいう頭のおかしい作物。統計資料としてはちょい怪しいんですが、14世紀の欧州一の都であるパリの人口は8万人、ドイツ一のケルンで3万しかいないんすよ。その時期日本では三河だけで10万人近くとか行ってます。頭おかしい……。種子島で火縄銃を二本売ったら、二百年後には世界の半分の銃を作ってた国はやはりヤバイ(再確認)。

 まあ向こうの戸籍って消失しまくったり、戸籍持ってる教会系がガバガバなのもあるんですけどね。当時の戸籍(厳密には戸籍じゃないけど)は教会が宗派ごとに洗礼によって管理してたのがほとんどなんですね。だから異教徒、異端の数は数えないので結構曖昧です。それでもアジアの人口は欧州と比べてぶっちぎりですが。

 肥沃な土壌と、米とかいう最高効率の作物がおかしいだけです。米って同じ面積だと麦の二倍取れて、十倍の人間を養えますからね。そりゃ人口も爆発するわ。日本史や中国史をやった後に欧州史をやると「しょっぼ……」ってなります。赤壁の戦いとかほんまもう……。3世紀に10万人単位を動員するな!

 イギリスなんて土壌と気候がクソだから芋か麦しか育たないんです! あそこの土壌は泥炭層ばっかりですし! 豊富な森林がある南ドイツが羨ましいよ~!(ほぼ植林だけど) この辺は農学部にでも入るか、自分で調べてください。

 

 


・応用問題

 ではここからは、中世ヨーロッパを学ぶと殺しにかかってくる様々な地域を紹介したいと思います。オラ!苦しめオラ!勉強すればするほど分かんなくなるんだよ!


 アルザスロートリンゲン

 フランスとドイツ国境に位置した領地ですね。フランク王国以降フランス王国アルザス伯領土であり、神聖ローマ帝国に認められたロートリンゲン公国です。

 は? 意味わからん。 

 つまりフランス貴族ですが、皇帝によって承認された独立した公王です。

 は?(二回目)

 もう頭の中が「???」って感じですが、頑張って理解してください。まだ序の口です。
 この地域はずっとドイツとフランスが奪い合いを続けます。18世紀にはオーストリア・ハプスブルグ家のマリア・テレジアの婿を出し、オーストリアになりかけますがフランスが固辞します。しかしその後プロイセンが戦争によってこの領土を分捕ります。近代に入ってからはナポレオン、継承戦争、第二次世界大戦でフランスとドイツ、オーストリアが奪い合いを続け、無茶苦茶になりました。
 色々あって最後はフランス領になりますが、分捕ったフランスが同化政策のためにドイツ語系のアルザス語の使用を禁止したりと碌でもないことになってます。ちなみにフランスによるプロパガンダのためつい最近までこれが逆になってたり。お前はソ連か。
 大国と大国の隙間にある悲しい土地です。百合の間に挟まると人は殺されますが、フランスとドイツに挟まれると土地は死にます(失礼)

 

 アキテーヌ

 フランスの西半分、アキテーヌ領を納めていた貴族です。十世紀ぐらいまでは独立国家でしたが、なんのかんのフランスに吸収されました。それだけならよくあることですが、問題はここからです。
 アキテーヌ公長女アリエノールはフランス王太子ルイ7世と結婚します。そしてアキテーヌ公兼ポワトゥー伯になります。ルイ7世は平和主義で情け深く、王というより修道士のようだったと言われるほど静かな人物なのですが、陽気なフランス女とは相性が悪く色々あって離婚(当時のカトリックに離婚という概念は無いので結婚取消)。そして後にイングランド王となるヘンリー二世と再婚します。ちなみに再婚までの期間は8週間。あのさぁ……。

 この再婚によってフランスの公爵でありながら元フランス王妃、現イギリス王妃となるわけです。フランス公爵なのにフランス王よりも広大なフランス西部からブリテンまでを統治する巨大帝国(プランタジネット朝アンジュー帝国)のトップになったわけですね。なんでだよ。ちなみにこの後にフランスとイングランドが揉めて百年戦争になります。やっぱりな♂

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西側の赤っぽいところは全部アンジュー 真緑だけがフランス王領

なんで王領より広いんですかね…。ノルマンディー公、お前もだよ。

 


アンジュー伯ナポリ王国

 ナポリ王国は13世紀にシチリア王国から分離し、フランス・ヴァロア朝のアンジュー伯が治めていましたが、その後アラゴン王国に奪われます。そしてイタリア戦争が起こるとフランスに占領され、それをスペインが更に占領し、近世以降はオーストリアが治めます。その後はスペイン王に奪われ、ナポレオンのフランスに奪われることになります。そしてナポレオンは衛星国として独立させました。しかしナポレオンが死ぬとシチリア王国と再び合体し、それをスペイン・ブルボン家が治めます。そして統一戦争を経て現在はイタリアに属します。

 つまりシチリア→フランス→アラゴン→フランス→スペイン→オーストリア→フランス→独立→シチリア(スペイン系)→イタリアです。あーあ勘弁してくれよ。

 つーかなんで欧州の総本山、ローマの隣でこんな奪い合いしてんですかね。教皇の威厳はもうボロボロ。


アンドラ公国

 これは現代まで続いて存在する、欧州の小国です。フランスとスペインの隙間にあります。元首はフランス大統領であり、ついでにスペインのウルヘル司教でもあります。つまり政治的にはフランスだけれど、教区的にはスペインという一つの国に二人のトップがいる状態なんですね。これを中世から現在まで800年ぐらい続けたわけです。中世というキリスト教絶対時代、フランスからして見れば自分の領土なのに自分の修道会を置けないとか罰ゲームもいいところです。統治権と教区権が別ってなんじゃい!十分の一税とかどうすんだよ! 

 このウルトラ屁理屈によって現代に至るまで独立を保ったわけです。ちなみに言語はカタルーニャ語。は????意味わかんね~~~~。なんで革命や大戦のどさくさでどっかに吸収されてねえんだよ。マジで。


バイエルン

 先に言っておきます。今から言うのはなぞなぞではありません。ただの地獄です。こいつはマジでやばいです。辛いので読まずに飛ばしても文句は言いません。

 

 ドイツ南部のバイエルンは色々な王朝の間を反復横飛びしていましたが、なんやかんやで皇帝によって命じられたヴィステルスバッハ家が管理していました。ですが1253年に当主のオットー2世が亡くなると、息子の間で領土が分割されます。

 ここでまず、下バイエルン公と上バイエルン公に分かれます。すると下バイエルンバイエルン=ランツフート公とバイエルン=シュトラウビング公に分裂します。そして上バイエルン公はバイエルン=ランツフートに吸収されます。そしてバイエルン=ランツフート公はバイエルンミュンヘン公、バイエルン=ランツフート公、バイエルンインゴルシュタット公の三つに分割されます。ついでにバイエルン=シュトラウビング公が他三つに取り込まれます。しかし更にバイエルンミュンヘン公は1467年に小バイエルンミュンヘンバイエルンダッハウに分割されます。しかし、1501年にバイエルンダッハウバイエルンミュンヘンと統合、バイエルン=ランツフートはバイエルンミュンヘンに吸収されました。最後にランツフート継承戦争によってバイエルンミュンヘン公が統一します。終わり! 閉廷!

 

 論理クイズかな?

 

 死ねばいいのに。たかが百年ちょいの期間に何回分裂と統合を繰り返してんだてめーはよ。アホのカップルか。

 

 

 というわけで五つの地域を紹介させていただきました。これで皆様のなろうファンタジー生活も楽しくなったでしょう。男爵一人出てきても、これが誰に任命されたどのような立ち位置の爵位なのか、国一つ出すにも誰がどの総主権を持っていてどこに属しているのか。考えざるを得なくなると思います。
 神聖ローマ帝国の分裂状態とか見てるとキレそうになります。まあ外国人も日本史をやると織田大和守家と織田弾正忠家の違いとかで困ってくれるので平等です。それに日本の官位の数は尋常じゃないですからね。ざまあみやがれ。


 欧州情勢は複雑怪奇ですが、紐解けば楽しくなります。紐解く途中で力尽きるだけで。興味を持った方は図書館で資料を漁ってください。死ねます。現代でも多くの国で独立運動が起こっている地域は伊達ではありません。カスティーリャ、北イタリア、スコットランドバスクとか選挙の度に独立だ連邦制だって叫んでますから。日本って平和っすね。

 

 ドイツ統一したビスマルク君ってやっぱ偉大ですね……。美大落ちチョビ髭おじさんとは違うんですよ。

 

 

 

 

 なおいくつかの帝国諸侯には逃げ切られた模様。リヒテンシュタインェ……。