ワナビの書き起こし

ワナビが暇なときに書く日記です

詩に興味を持ってくれマジでって話

 皆さまお久しぶりです。藤野すそのです。大体半年ぶりぐらいですかね、ブログの記事を書くのは。半年というのは長いようで短く、週刊連載漫画なら二巻分ぐらい時が進み、アカギならまだ牌をツモって切っていません。なんなら一年後も切っていません。

 さて皆さま、そろそろクリスマスが間近に迫って参りました。クリスマスと言えば家でSchool Daysを見るか、ブレンパワードを見るか、しろくまベルスターズをやるのが基本的な過ごし方ですが、世の中にはカップルで過ごすという奇特な方もいらっしゃいます。(僕は仕事です)

 まあそんなビターでスイートな生き方をしようがしまいが僕にとってはどうでもいいのですが、やはりクリスマスに向けて恋人を探す方がいるのも事実。23日になって探し始めるのは夏休みの宿題を思い出しますが、まあそんなことはどうだっていい重要なことじゃない。

 恋愛というのは大変です。まず和歌の送り合いから始まり、垣根の隙間から幼女をウォッチングしたりしなくてはなりません。歌を送らないと無教養とみなされ、月から来たことしか取り柄のない女に無理難題を押し付けられます。時にはウンコも盗りに行きます(宇治拾遺物語)。そんな地獄のような遣り取りを経た先にあるのが恋だの愛だのと言ったものです。昔の人間は面倒なことしてんなぁ。

 

 でもラブレターって文才がもろに出るんですよね(唐突なワナビ発言)

 何の本だかは忘れましたが、文章が苦手な人はファンレターかラブレターから始めろと書いてありました。一枚の紙の中に自分の書きたいことと相手に伝えたいことを納めて、読みやすさや分かりやすさも考えなくてはならない。だから文章の組み立て方が上手くなる、的なことを書いてあった気がします。

 まあそりゃそうですよね。下手なこと書けないし、書くこと山ほどあるのに纏めなきゃいけないし、わたしいじけちゃうし.exe。どこぞのオサレ師匠も「何を描くかより、何を描かないかが大事」的なこと言っていた気がします。和歌や俳句、詩だって全部同じです。書きたいことを全部短い文章にぶち込む必要があります。

 

 でも詩ってなあ……ってなりますよね? だって詩の書き方なんて知らないし。

 

 詩と言えば谷崎潤一郎金子みすゞ俵万智相田みつをなんかが有名ですよね。教科書に載っているのはこの辺です。でも、教科書以外で詩を見ることってないんですよね。センター試験に詩文ないし、公務員試験にもないし。高校でなんかやったっけ? ってレベルです。

 僕の近くにも小説大好きマンはいっぱいいるんですけど、詩が好きなマンは一人もいません。PSPGOを所持している人間は一人いるので、それ以下です。悲しいなぁ。

 

 でも詩って楽しいよ、っていうのが今回の本題です。ここまで長いなあ。論文だったら×つけられそう。というわけで僕が好きな詩や短歌なんかを紹介します。皆さん気づかなかったかもしれませんけれど、このブログって実は文学的なブログなんですよ。ちんちん!(文学的発言)

恋した女は数知れず
愛した女はおまえだけ
一生一度の愛ならば
命かけて守ります
たとえこの身が朽ちようと
咲かせてみせます愛の華

 

 なんだこれ、って思うかもしれませんけど、暴走族の特攻服の後ろに書いてあるやつです。特攻服って何? って方は20年ぐらい前のマガジン漫画を読むとどれかには載っています。いつからマガジンはラブコメスポーツ漫画になったんや…。

 暴走族の特攻服のポエムは昔は短く、喧嘩上等だの夜露死苦だの愛羅武優だのだったらしいですが、段々長くなっていってこんなポエムにまでなったらしいです。タイトルが段々長くなっていくラノベみたいだぁ……。

 それはさておき、この詩は僕の中でも四本の指に入るぐらい好きな詩です(ナメック星人)。常に喧嘩にあけくれる暴走族の”愛”や”命”が”書かれて”いてドエレー”COOL”だと思います。咲かせてみせます愛の華、あたりは演歌のこぶしみたいで好きですね。

 

明日という日からは
こんなに たやすく
逃げることが出来るのに
昨日という日からは
決して逃げることが
出来ないのです
「恋の奴隷」
奥村チヨさんが唄います

 

 演歌と言えばこれですね。これを詩と言っていいかは微妙ですけれど、詩集に載っていたのでヨシ!歌番組でイントロの時に玉木宏さんが言う掴みです。なんとなーく想像はつくと思います。歌手が歌い始めるまでのわずかな時間に差し込んで、なおかつ短すぎてもいけない。それでいて歌という本編よりも目立ってはいけない。そんな中差し込まれた言葉で僕が一番好きなやつです。

 いいですよね。明日と昨日の対比。明日からは逃げられても昨日からは逃げられない。対照的な言葉が綺麗で、なおかつ口に出してもリズムが良い。ジョジョにでてきそう。玉木宏のナレーション大全集という本に載ってるんですけど、この本絶版なんですよね。こういうのは残らない方が良いって玉木宏さんが言ったらしくて。

それが一番かっこいい詩だろ。

 

右の手が
書いた手紙を
左の手は
知らない。

右の手が握手したのも
左の手は
知らない。

だが
左の手の指環が
何を意味したか

右の手は
知ってゐる。 

 

 竹久夢二の歌です。左手薬指の指環が何より雄弁に愛を語っている、というものですね。書かれたのは大正時代。結婚指輪という概念がどれだけ広がっていたのかは知りませんが、今ほどは知られていなかったでしょう。そんな時代の詩です。

 僕がこれを見て最初に思い出したのは聖書の「右の手がしたことを左の手に知られてはいけない」というフレーズです。施しは見せびらかすものではない、という意味の言葉なのですが、愛も同じかもしれませんね。愛が生まれたことは自分と指環だけが知っていればいいんです。

 

ぼくのゆめは……

 

 これだけです。これだけの詩です。これは少年刑務所の受刑者である一人の少年が書いた詩です。たった一文、それも途中で途切れたこの詩を初めて見た時、僕は素直にすごいと思いました。

 夢はある。けれども言えない。叶うわけがないという諦め、羞恥、悲しさ。そんな感情が渦巻いているせいで先を書けない。夢や将来に希望を持てないから言葉を紡げない。そんな詩です。ちなみに僕の現在の夢は石油王です。

 


よごすまじく首拭く
寒の水

 

 これは死刑囚の書いた俳句です。絞首刑を間近に控えた囚人が縄を汚さないように冷たい水で首を拭く。死が目の前に迫っているというのはどういう気持ちなんでしょうね。僕は幸いにして重い病気にかかったこともなく、明日死ぬ心配はしたことがありません。けれどもいつか死ぬ日、道具が汚れることを嫌って水で首を拭くことがあるのでしょうか。僕にはまだ分かりません。

同窓会
彼は薄毛で
私デブ

 

 なんて悲しい歌なんだぁ……。あっ、石を投げないで!

 でも時の流れに寂しさを覚え、かつての恋心や郷愁を思い出す庶民の詩、って書くと万葉集に載っていても不思議ではないかもしれません。薄毛を「禿(かむろ)」って書けばいけるかもしれない。毛髪川柳、好きよ。

 

おわりに

 以上、六作紹介させていただきました。詩というのは遠いようで近いです。意外と身近にあるんですよね。サラリーマン川柳だって詩ですし、会社の壁に掛かっている標語だって詩です。教科書に載っているような詩人の書いた美しい詩から、その辺のおっさんが書いた日常的な詩まで色々あります。別に詩を書けなんて言いませんし、詩集を買えとも言いませんので、時々頭の片隅から引っ張り出してみてください。結構楽しいですよ、詩。

 

 最後の最後に。詩と言っていいかどうかは分かりませんが、僕の好きな詩集に載っていた詩を載せておきます。

 

デザイナー十戒

一 客を選ぶな、仕事を選べ
二 腹が立ったらギャラの夢
三 パクリ一発怪我一生
四 遅刻厳禁、締切厳守
五 バイク便を待たせるべからず
六 マックに当たるな、自分に当たれ
七 死んでも入校、死んだら校了
八 ホトケの直しも三度まで
九 転ばぬ先のバックアップ
十 コピーの裏紙半端な仕事

 

 

 心が痛い